「Reactとは何か?何ができるのか?」という全体像を理解できたところで、今回はさらに踏み込んで、Reactの最大の特徴であるコンポーネント指向と、なぜ 大規模開発でも選ばれるのかを徹底解説します。これを理解することで、ReactがただのUIライブラリではなく「長期的に開発を支える強力な基盤」であることが分かります。
コンポーネント指向とは何か
Reactのコンポーネント指向とは、UIを小さな部品(コンポーネント)に分割し、それらを組み合わせて画面を構築する考え方 です。
- 分割:ボタン・入力フォーム・ナビバーなど、役割ごとに小さな部品へ切り出す
- 組み合わせ:分割した部品を親コンポーネントが組み立て、1つのページとして完成させる
イメージとしては、レゴブロックを使って大きな作品を作るのに近いです。1つ1つのブロック(コンポーネント)は単独で意味を持ち、それを組み合わせることで複雑なUIをシンプルに表現できます。

再利用性と単一責任の原則
Reactのコンポーネント設計で重要なのは、再利用できる形にすること と 責務を1つに絞ること です。
- 再利用性:一度作ったコンポーネントをアプリ全体で使い回せるようにする。例えばボタンやモーダルを部品化すれば、色やテキストだけを変えて全画面で利用可能。修正があった場合も1か所直せば全体に反映できる。
- 単一責任の原則:1つのコンポーネントは「1つの役割」だけを持たせる。ボタンならクリック処理だけ、モーダルなら開閉制御だけ。複数の機能を抱え込むと保守が難しくなる。
この2つを守ることで、シンプルで分かりやすく、再利用性が高く、壊れにくいコンポーネント を作ることができます。
再利用できるUI部品を作れる
Reactの強みは「一度作ったコンポーネントをアプリ全体で使い回せること」です。ただし、設計の仕方を誤ると再利用が難しいコードになってしまいます。
再利用できない例(直接スタイルや内容を固定してしまう)
// NG: 保存ボタン専用に作られたコード
function SaveButton() {
return <button style={{ background: "blue", color: "white" }}>保存</button>;
}- 色や文言が固定されている
- 他の場面で「キャンセルボタン」「削除ボタン」として流用できない
- 修正が必要になるたびに別のボタンを作ることになり、管理が煩雑になる
再利用できる例(propsで見た目やラベルを切り替える)
// OK: 汎用ボタンとして定義
function Button({ label, variant }) {
const styles = {
primary: { background: "blue", color: "white" },
danger: { background: "red", color: "white" },
secondary: { background: "gray", color: "black" },
};
return <button style={styles[variant]}>{label}</button>;
}
// 利用例
<Button label="保存" variant="primary" />
<Button label="削除" variant="danger" />
<Button label="キャンセル" variant="secondary" />- propsで柔軟に変更可能 → 文言・色・用途を切り替えられる
- 同じコンポーネントを繰り返し利用できる
- 修正も1か所で済むため、保守性が高い
ポイント
- 固定値をベタ書きしない(propsで外から与える)
- 責務を限定する(ボタンは押す動作に特化、ロジックは外に渡す)
- 拡張に強い形にする(variantやclassNameで見た目を切替)
これが「再利用できるコンポーネント」と「再利用できないコード」の大きな違いです。
補足:「props(プロップス)」とは、コンポーネントに外から値を渡す仕組みのことです。関数の引数のようなイメージで考えると分かりやすいです。
宣言的UIの考え方
宣言的UIの考え方とは、従来の命令的UIの「どうやってUIを変えるか」ではなく「状態がこうならUIはこう」というように指定します。この考え方をReactの実装に適用することでコードがシンプルになり、バグも減らすことができます。
命令的UIの書き方(手順を1つずつ書く)
従来のやり方では、「どうやってUIを変えるか」を手順で書きます。
// ボタンをクリックしたときにテキストを切り替える(命令的)
const button = document.getElementById("myBtn");
let isOn = false;
button.addEventListener("click", () => {
isOn = !isOn;
if (isOn) {
button.textContent = "ON";
button.style.background = "green";
} else {
button.textContent = "OFF";
button.style.background = "gray";
}
});- ON/OFFを切り替える手順を毎回自分で書く必要がある
- 画面が複雑になるほど管理が大変
宣言的UIの書き方(状態を宣言するだけ)
Reactでは「状態がこうならUIはこう」というルールを宣言します。
import { useState } from "react";
function ToggleButton() {
// ① 状態を定義(isOnがtrueならON、falseならOFF)
const [isOn, setIsOn] = useState(false);
return (
// ② ボタンをクリックしたときに状態を反転させる
<button
onClick={() => setIsOn(!isOn)}
// ③ 状態に応じて背景色を切り替える
style={{ background: isOn ? "green" : "gray" }}
>
{/* ④ 状態に応じてテキストを切り替える */}
{isOn ? "ON" : "OFF"}
</button>
);
}- 状態(
isOn)をどうUIに反映するかを宣言するだけ - 状態が変われば、Reactが自動でテキストと色を切り替えてくれる
このように「状態」と「UIの見た目」を結びつけて宣言しておくと、状態が変わるたびにReactが自動的にUIを更新してくれます。
JSXとは(JavaScriptとHTMLの融合)
JSXは JavaScriptの中でHTMLライクにUIを記述できる構文 です。
下記のコードは普段のHTMLにそっくりですが、裏では React.createElement に変換されて動作します。
function Greeting() {
return <h1>こんにちは!React</h1>;
}↓↓↓↓↓↓↓↓↓ このコードは裏側で下記のように解釈されます ↓↓↓↓↓↓↓↓↓
// JSXを使わない場合
function Greeting() {
return React.createElement("h1", null, "こんにちは!React");
}つまり、JSXはHTMLを書いているように見えて、実際はJavaScriptの関数呼び出し なのです。
JSXのメリット
- 見た目とロジックを近くに書ける → UIと処理の関係がわかりやすい
- 条件分岐やループを直接埋め込める →
{ }の中にJavaScriptの式を書ける
function TodoList({ items }) {
return (
<ul>
{items.map(item => (
<li key={item.id}>
{item.done ? "✅" : "⬜️"} {item.title}
</li>
))}
</ul>
);
}JSXを理解するコツ
JSXを学ぶときのポイントは、「HTMLをそのまま書いているわけではない」 という意識を持つことです。実際にはJavaScriptの中で「UIがどうあるべきか」を宣言している構文になります。
また、JSXでは { } を使ってJavaScriptの変数や関数を埋め込むことができます。これによって、アプリの状態に応じて表示を切り替えたり、動的に値を反映したりできるのです。
状態管理(UIがデータに応じて変わる)
Reactの大きな特徴のひとつに「状態管理」があります。状態(state) とはコンポーネントが持つ「変化するデータ」のことです。例えば「ボタンを押した回数」「フォームの入力値」「ログイン中かどうか」といった情報はアプリの利用中に変わるので状態として扱います。
Reactでは 状態とUIが結びついている ため、状態が変わると自動でUIが更新されます。つまり「UIは状態の写し鏡」です。
import { useState } from "react";
function Counter() {
// count = 状態の値
// setCount = 状態を更新する関数
const [count, setCount] = useState(0);
return (
<button onClick={() => setCount(count + 1)}>
カウント: {count}
</button>
);
}
この例では、useState(0) で最初の状態を「0」に設定し、クリックされるたびに setCount(count + 1) で状態を更新しています。状態が変わるとReactが自動的にUIを再描画するため、ボタンの表示が「カウント: 1」「カウント: 2」と切り替わっていきます。
もし従来の方法で同じことをするなら「変数を更新 → DOM要素を探す → テキストを書き換える」という一連の処理を手動で書く必要があります。Reactでは状態だけを更新すればUIが勝手に追従してくれるため、コードがシンプルになり、同期漏れの心配もありません。
この仕組みにより、Reactは「動的に変化するUI」を直感的に、かつ安全に構築できるのです。
補足: 「DOM要素」とはブラウザに表示されるHTMLの部品(見出しやボタンなど)のことです。
仮想DOMと高速なレンダリング
通常のJavaScriptでは、画面を書き換えるたびに DOM要素(HTMLの部品) を直接操作します。しかしDOM操作はコストが高いため、複雑なアプリでは動作が重くなりがちです。
Reactはこの問題を解決するために 仮想DOM(Virtual DOM) という仕組みを導入しています。
仮想DOMとは?
- 実際のDOMのコピーをメモリ上に持つ仕組み
- 画面更新の際に、まず仮想DOM上で「前回の状態」と「今回の状態」を比較(差分チェック)
- 必要な部分だけを実際のDOMに反映する
これにより「全部を書き換える」必要がなくなり、更新が効率的になります。
大規模開発に強い理由
Reactは小さなWebサイトだけでなく、Facebook・Instagram・Netflixなど大規模サービスでも使われています。なぜ大規模でも選ばれるのか、その理由を整理してみましょう。
1. 分割統治で管理しやすい
コンポーネントごとに責務が明確に分かれるため、画面全体が複雑になっても部分的に管理できます。
「ボタンを直したら全体が壊れた」というような事態を防ぎやすくなります。
2. チーム開発に適している
コンポーネント単位で作業を分担できるので、複数人が同時に並行開発できます。
「Aさんはナビバー担当、Bさんはフォーム担当」といった分業がしやすいのです。
3. テストしやすい
小さな部品ごとにテストできるため、不具合を早期に発見できます。
テストツール(Jest・React Testing Libraryなど)とも相性が良く、品質を保ちやすいです。
4. 拡張性と保守性が高い
新しい機能を追加するときは、既存のコンポーネントを組み合わせたり、新しい部品を追加するだけで対応できます。
作り直しを最小限に抑えられるので、長期的に保守しやすいです。
5. 豊富なエコシステム
- 状態管理:Redux / Zustand / Recoil / React Query
- ルーティング:React Router / Next.js
- UIライブラリ:Material UI / Chakra UI など
多くの選択肢があるため、プロジェクト規模や要件に応じて適切な仕組みを導入できます。
6. 実績とナレッジの蓄積
世界中の大企業・OSSコミュニティで使われているため、ドキュメント・ベストプラクティス・質問回答が豊富に存在します。
困ったときに解決策を見つけやすいのも大きな安心材料です。
要するに、Reactは「部品化で管理しやすく、チーム開発や長期保守に強く、さらに周辺ツールと知見が揃っている」からこそ、大規模開発で安心して選ばれているのです。
まとめ
Reactの特徴を見てきたことで、なぜ多くのプロジェクトで採用されているのかが分かってきたと思います。コンポーネント指向によってUIを小さな部品に分けて再利用でき、保守性や開発効率が高まります。さらに宣言的UIとJSXを用いることで、状態の変化とUIの表示が直感的に結びつき、コードも分かりやすくなります。加えて仮想DOMによる差分更新が高速なレンダリングを実現し、最適化の仕組みも備わっています。そして分割統治の考え方や型安全性、充実した周辺ツールによって、大規模開発でも安心して利用できる基盤となっています。
次回は、実際に手を動かす準備として 開発環境の作り方(Node.js / npm / エディタ設定) を解説します。React学習を始めるための第一歩を一緒に進めていきましょう。






