事故リスクを抑えるためのサーバーとロードバランサとデータベースのシステム構成【基本情報】

  • LINEで送る
事故リスクを抑えるためのシステム構成

停止してしまうと社会的な影響が大きかったり,深刻なダメージを及ぼしてしまうシステムのことをミッションクリティカルなシステムと呼ぶ.航空システム,発電システム,銀行や為替の売買システム,LINE等のスマホアプリ,paypay等の決算システムが当てはまる.

システムによって冗長構成を組んだり,不可分散を行うなどして事故を回避する.基軸となるシステムがダウンした場合でも,別ルートでシステムの継続を行えるようにする必要がある.

デュプレックスシステム

現用系と待機系の2系統のシステムで構成される.現用系のシステムに障害や不具合が生じた場合,待機系に切り替えてシステムを継続させる方式.

ホットスタンバイ

現用系と待機系のシステムの両方で,同一の業務システムを起動する.現用系に障害が発生した場合に待機系に即座に切り替えてシステムを継続させる.ダウンタイム(システムが止まる時間)がないまたは限りなく短い時間でシステムを復旧させることができる.2台を同時に稼働させるため最もコストがかかる方式.

ウォームスタンバイ

待機系の環境のみ整えて,いつでも起動できる状態で待機する方式.ホットスタンバイとコールドスタンバイの野中間に位置する.障害発生時には最低限の手順で切り替えることができるが,少なからずダウンタイムは発生する.

コールドスタンバイ

待機系は現用系のシステムとは別の業務システムや処理を実行する.現用系に障害が発生した場合は,現在処理を行っているシステムを中断し,現用系のシステムを起動してシステムを継続させる.3種類の中で最も低コスト.障害発生後,待機系のシステムの起動から入るため,ダウンタイムが最も長い.

デュアルシステム

1つの処理を2系統のシステムで独立で処理を行う.2系統のシステムの生合成を保つために照合(クロスチェック)を行う.一方のシステムがダウンしてももう一方のシステムでダウンタイムが発生せず,処理を継続できる.

クロスチェックを行うため,高い信頼性を担保でき,不具合が生じた場合もどこで不整合が発生したか追うことができる.デュアルシステムは,絶対に停止したくないシステムに用いられることが多い.

その一方で,同じシステムを2つ用意するためコストは倍になる.システムのバージョンアップ,ストレージ容量,電気代等も倍になる.

クラスタシステム

複数のサーバーを1台のサーバーのように見せかけ,1つのシステムを運用する技術.クラスタシステムには大きく分けて下記の2つがある.

  • HAクラスタ(High Availability Cluster)
  • HPCクラスタ(High Performance Computing Cluster)

HAクラスタ(High Availability Cluster)

クラスタシステムのうち,システムの可用性(継続稼働し続けること)を高めるために構築されるシステム.

負荷分散型クラスタ

同一機能のサーバーを並列で稼働させる.複数のクライアントからのリクエストを各サーバーに振り分けて不可分散を行うクラスタ.

フェイルオーバークラスタ

同一機能のサーバーを現用系と予備系に分けて運用するクラスタ.現用系に障害が発生すると自動的に予備系に切り替わる.

HPCクラスタ(High Performance Computing Cluster)

クラスタシステムのうち,システムの高性能化を目的に構築されるシステム.大量の演算を複数のサーバーで並列実行することで,1台のサーバーでは実現できない高いパフォーマンスを実現することができる.

外部記憶装置(DB)の共有方法

負荷分散型クラスタでは,サーバーそれぞれにデータを持ち,レプリケーション(リアルタイムに複製すること)で整合性を保つ.

フェイルオーバー型クラスタでは現用系,待機系ともに共有のデータベースを参照する共有ディスク方式と,現用系と待機系のそれぞれにDBを持ち,現用系のDBの更新時に待機系のDBにも同じ値を書き込むミラーデイスク方式がある.

グリッドコンピューティング

ネットワークを通じて複数のコンピュータを連携させ,仮想的な超構成のなコンピュータとする技術.数百台のコンピュータを連携して並列処理することでスーパーコンピュータのような処理を実現することができる.膨大な処理を行うときに,小さなタスクを各コンピュータに割り当てることで実現させる.

最新の投稿

SNSでもご購読できます。

コメントを残す